まずは、「今宵、フィッツジェラルド劇場で」
この作品は2006年ベルリン映画祭公式出品作品だそうです。
とあるラジオ局の公開放送。恐らく何十年も続いた番組なんだろう、その最後の放送の日がやってきた。
公開放送なので当然お客さんが前にいる。その聴衆とラジオを聴いている聴視者に対して、いつものように番組が進行していく。
同じ司会者としてこのラジオの進行役をしているギャリソン・キーラーがすごい。彼は実際に1974年以来30年以上にわたってこのラジオ番組の司会をしているという。
その落ち着いた語り口と歌の絶妙なうまさが聞いていて耳に心地よいのだ。特にCMのナレーションをするあたりは浜村純さんを思わせるようなうまさ。アクシデントにも何にも動じない。
あと周りをとりまくメンバーの歌を聴いているのも楽しい。
メリル・ストリープがカントリーの歌手を演じているのだが、彼女の演技にしては地味な感じがしたけども、さすがにそこはメリル・ストリープである。しっかりとこの映画の役どころを演じている。
新しい、劇場のオーナーになりそうな男にはトミーリー・ジョーンズ。冷徹な男をさりげなく演じているが、この作品の中での役どころとしてはちょっと物足りない。
なぞの美人を演じているヴァージニア・マドセンはじつに綺麗な女優である。この作品の中では死神を演じているのだが、その存在感は圧倒的である。
様々なキャラクターが同じラジオ番組を綴りながら一つの時代の終わりを共同作業で表していく。そこに人間の死さえも取り込みながら新しい希望に燃える人々の夢をもがいているこの作品は、良質のワインをのんだような後味であった。
NO.23 2007


